モームの「赤毛」

「あの人にもう一度あいたい」って悩んでいる人にオススメ。

雨・赤毛: モーム短篇集(I) (新潮文庫)

雨・赤毛: モーム短篇集(I) (新潮文庫)

南の海を背景に昔話がはじまり…。美しい男女の情熱的な恋の物語りに「うーむ。真の意味での恋愛とはこういうモノかもしれん」と一瞬納得させられ…が、しかし、人間とは、人生とはそんなモノでは無いのねー。人の思いって、人との絆って、人生って…と、皮肉いっぱいな結末に衝撃。
モームならではの美と皮肉に満ちている。


何度読んでも、読む度に「船長」の容貌のイメージが違ってしまう。2回目以降は赤毛のイメージを「船長」にかぶせるようになるからなのだと思うが。逆に「赤毛」のイメージにも…ね。

多面体のクリスタルのように「おバカな女の哀れな人生」に思えたり「そこまで想えるモノを持っている幸せな人生」とも思えたり。
現実は残酷なのだから、心に逃げ場所を持っているのってある意味幸せな事ではないかしら。
自分はそんなのイヤだけど。