トリノ ジェフリー・バトル雑感

荒川さんに全て持っていかれたオリンピックだった。。。あの素晴らしい演技の印象があまりにも強烈でして、ペア、男子、ダンスがすっごく遠い昔のことのような感じさえします。
しかしながら、ペア、男子、ダンスは全て大本命の選手がきっちりと貫禄の演技で金と、うーん、スルツカヤのあの崩れようを思うにつけ、本命がメダルをとることの難しさと、それをきっちりと出来た選手の偉大さを改めて思い知らされたりもしました。
男子は昨シーズンの世界選、そして今シーズンのファイナルでも1位2位だった二人がそのまま表彰台にのっかりましたね。ショートからの変動はあったけど、やはり今の男子の強さはこういう順番になっているんだなぁと・・・あらためてランビとジェフの「総合力」の強さを思い知らされ、そして、場数を踏むことの大切さを思い知りました。


私にとって感慨深かったジェフの銅メダルについて感じたことをちょっくら書いておきます。

ジェフの場合は今までのあらゆることがこのオリンピックのフリーに役に立ったなと。
今シーズンで言えば・・・
今シーズンのスケカナの「ブレードで衣装と脚を切ってしまった」演技。エレメンツは崩れまくったけども、冷静に最後まで演技を続けて・・・観客用の笑顔も決して忘れなかったこと。そしてファイナルでは演技前にブレードのトラブルでモタモタやってしまい集中力が途絶えてしまったのか、、ジャンプミスの多い演技だったけども、、それでも、勝つために冷静に今出来ることの全てやるという姿勢が表彰台に繋がったこと。
トラブルに冷静に対応し、出来るだけのことをやり、そして結果を残したその経験は大きな財産になっていたのだと思う。

あと、もうひとつのメダルへの鍵となったのは、変更したプログラム「サムソンとデリラ」にあるかなぁと。このリニューアル版のプログラムを国際大会で披露せずにオリンピックにぶつけるというのは、どちかといえば不安要素になってしまう可能性もあったのだけども、しかし、ジェフの場合はその不安よりも、カナダナショナルで見事なリベンジ*1に成功しているという自信の方がずーっと大きかったと思う。それがこのプログラムを演じる大きな大きなパワーになっているように思えました。

もちろん、SPでの失敗があってメダルとは遠い位置でのフリーだった・・他の選手よりもプレッシャーが少なかったかな。SPの結果でメダルが届きそうなところにいたらまた全然違うフリーになっていたかもしれないね。本人もSP後は「メダルのためでなく、自分のスケートのために滑る」というようなことを発言しておりました。この「自分のスケート」の意味はとてもとても深い。単にプレッシャーから解放された程度の「自分の」ではなく、ジェフの「魂入った」スケートだったように思いました。


そんなジェフ君の帰国の図
http://sports.yahoo.com/olympics/torino2006/photo?slug=r1983658007&prov=reuters
・・・凄みなどを一切感じさせない『田舎の普通のスポーツ兄ちゃん』って感じですな。





Jスポで4大陸の放送が始まってましたね。。ここにも次のオリンピックの主役達が潜んでおります。。

*1:まさにジェフのリベンジとなったこのプログラム。03-04シーズンカナダナショナル、ジェフはフリーで最終滑走・・・自爆大炎上・・・となったわけですよ(涙)・・・しかし、時は流れ今シーズンのカナダナショナル、神様はディフェディングチャンピオンであり世界選のシルバーメダリストになったジェフに「あの時の自分に勝つ」場所を用意してくれました。フリーであの時と同じく最終滑走と。あの時と同じようにクワドには失敗してしまったけども、、でも、それに影響されず見事に滑りきりました。