行ってきましたジャパンオープン(1)

去年よりもさらにバカ高くなったチケット代を払い行ってまいりましたジャパンオープンでございます。感想をざーっと。まだテレビの放送を見ていませんので細かいところは間違っているかもしれませんが、

会場の温度はかなり高く…暑い!席に座ってぼんやりしていると…キスクラに赤いスタッフジャンバーを着た二人がウロウロしている…反対側で熱心にメープルリーフの国旗を振っている人がいて…誰にアピールしているんだろう…とすっごく不思議に思っていたら…あ、その赤いスタッフジャンバーを着た二人ってトッドとジェフだ(汗)あ、あの赤いジャンバーは北米チーム用だったのね…あまりにも普通の人すぎて気がつきませんでした。しかし側にはなんとトッドとずーっと一緒にやってきたコーチ、リチャード・キャラハン氏の姿がありまして…うぁ〜再びトッドと一緒にいる姿がみられるなんて〜!と、感激してしまいましたよ。そうそう今回もほとんどの選手がコーチを連れてきておらずで、キャラハンコーチ以外では、佐藤信夫コーチ、織田憲子コーチ、ニコライ・モロゾフ氏ぐらいしか見かけませんでした。
さて、いよいよ開始で、選手が登場。
最初はチームヨーロッパ、ペーパーミント色のジャンバーで登場。ヤグさんでひときわ大きな歓声。次は北米チーム、ここは皆さんそろってかわいらしい投げキッスポーズをとってくれました(笑)だれの考案なのかわかりませんが、チームワークばっちりな感じした。そして日本と、ここはさすがにすごい歓声です。
いよいよ競技へ。
男子ウォームアップ開始。
何よりも気になっていたのは、ヤグさんが何を滑るのかということだったのですが、噂どおり「グラディエーター」の衣装で現れました。フェンスのところでかつての振り付け師モロゾフ氏となにかお話している…あ、もう、ダメだ…なんかもう目が潤んできてしまった。ジェフはワールドの時と同じアララト衣装…はは、どうしてもこの衣装を見るとワールドを思いだしてナーバスな気分になる私…ですが、当のジェフはスイスイ〜といつものようにとても美しい滑りでアップしておりますす。リンクが昨年と同様に薄い水色なのですが、あのアララト衣装の色合いがとても映えて襟元の赤がとても印象的で素敵です。それにしても小塚君と、トッドと、ジェフと、この3人をまとめて一緒に見られるとはなんと贅沢な…3人とも本当に美しいスケーティングで…胸のすーっと心地良い空気入ってきますよ、そしてエッジのキラキラ星がいっぱい!ここに大ちゃん、ポンセロ君がいたらなぁ、私の大好きな脚元達勢揃いなんだけどなぁ!ジュベールと織田君はやっぱりジャンプが高くてかっこいい!
と、そんなこんなでアップ終了。いよいよ競技へ。
アレクセイ・ヤグディン
一番滑走は昨年と同じくヤグさん。この演技に対して細かい感想を書くのはヤボだと思うのですが、ヤグさんが競技として臨んだので、私も競技としての感想を。トリプルルッツのコンビネーションを降りていました、もう一つ単独でルッツも降りました。ルッツを二つ降りているんです。今のヤグさんがルッツを降りた。本当にこの気持ちをどう言葉にしていいかわかりません。勿論、以前のグラディエーターとは全然違います、現役の頃に滑ったグラディエーターは、空中をうねりあがるような4回転に、音の響きとドンピシャのタイミングでトリプルアクセル、空中を引き裂くような大きなデスドロップと…そして胸の奥が焼けつくような感覚におちいるムーブインザフィールドと、そして氷をとかしそうな熱いステップと。今回はジャンプの高さもありません、スピードも落ちています、でも、スケーティングがとても繊細になり、体の動きもとても洗練されていて…表現がぐーっと奥深いものになっていたように感じました。映画「グラディエーター」の終盤のマキシマスのイメージには今のヤグさんの方があっているかもしれません。あの頃のグラディエーターはもういないけど、でもやっぱりあの頃と同じグラディエーターがいるのだと思います。
そうそうプログラムとして、今回はステップを新採点対応に変えてきていて…悪くありませんでしたが、正直なところ少々魅力を損なってしまっていると感じました。昔っからこの新採点に対応しているステップで見続けてきたならば特に何も感じなかったかもしれません。
と、書いてみてやっぱりヤボだなぁと…。
小塚崇彦
NHK杯以来の生小塚くん、あのときはエッジの煌めきばかりに目を奪われていたのですが、今回は音楽表現もなかなか素敵になってきていてびっくりしました。音楽を感じる感性は備わっていそうだけども、今までは上手く身体を使うことができていなかったような感じだったのですが、今回はそのあたりが上達してきたというか、味わいのある演技になっていたように思いました。それにしてもやっぱりスケーティングが奇麗〜!エッジワークに遊び心があるというか、とにかくエッジさばきをかっこよく見せることに命賭けてます!みたいな感じがあって私は大好きです。
・トッド・エルドリッジ
ここで競技として滑ってくれるだけでもう何も言うことはありません!といった感じです。トッドがどこまで新採点対応を考えてきたかはわかりませんが、しかし、これだけエレメンツがつまっている競技用プログラムを今でも最後まで全くスピードが落とさずに滑りきるなんて、すごいです!今でもこうして現役選手達に遜色なく競技プログラムをこなすことができるのは、まさにしっかりとしたスケーティングの基礎と鍛練をおこたらない身体作りの賜なのだろうね。
ジェフリー・バトル
個人的に、トッドとヤグさんは別枠と考えて、本日一番良い演技の人だったと思います。彼がリンクの中央に立つと、どこかぴーんと張り詰めたような空気になる…ジェフ独特のオーラを発していました。見ているだけで息をとめられるような感覚に陥る、これがワールドのフリーにおいては感じることのできなかったジェフのオーラだと思います。音とシンクロして細い細い線の上に寸分もたがわず美しい絵を描いて行く、ワールドでスタオべ演技だったショートプログラムの時も見ることがなかったジェフだけのスケート。私は見たかったジェフのスケートが今回はありました。と、少し遡ってしまうけど、実は私はジェフのワールドのショートプログラム、競技としては大満足で感動しとても印象深いものとなりましたが、ジェフのスケートの真髄を発揮した演技とは思いませんでした、これは一緒に観戦をしたU嬢とその時に語っていたことなのですが、ジェフの持っている音楽表現、ステーティングの凄みはあんなもんじゃないんです!凄いときのジェフはもっと凄いんです!そういう意味ではあの時のPCSが伸びきらなかったことには納得しております。*1と、ワールドのことはまたあらためて…別に。
最初のループはクリーンに、そして、次はやはりクワドを入れようとしてきましたね、4回まわれずに3回で降りてきてしまったけど、でも、どんな機会でも前に進もうとするジェフに嬉しくなります。次はトリプルアクセルのコンボのはず、いつもならばここで祈るような気持ちになるのですが、今回はなぜだかそのような気持ちにはならず、たぶん降りるだろうと…なぜか達観したような気持ちに。何故だかわからないけど降りるような気がしていた、ワールドと同じミスは絶対にしないだろうと…そう思っていたから。おちついて奇麗にタイミングよくふみきり、あっさりと降りる。…でもやっぱり降りた瞬間に胸が熱くなってぶわぁーっと涙が出てきてしまった。支離滅裂だけども、ジェフの強さを信じているけど、でも、どうしてもワールドのフリーを思い出してしまって、この大会でも大きく崩れたらどうしょう…とかそういうジェフに対して失礼な不安もあったりと…今思うと、自分の不安感を「ジェフなら大丈夫!」という思いで打ち消そうとするマーブル模様状態だったかなぁ…。この後はもうジェフの世界にひきこまれてジャンプがどうのこうのとか考えずにその世界にすーっと入りこんでしまいました。ポーズ一つ一つにおもわずため息がもらしてしまうほど美しく、スピンのポジションもとても美しく、とても曲想に合っています。終盤のステップも音と調和していてとても素晴らしかった。今季、ナショナルの次に良い演技だったと思います。しかし今季のジェフのジャンプ構成、クワドはやはり4T-2Tのコンビネーションの予定だったのかな?4T-2Tと3A-2T、とそして3Lz-2t-2loでコンボ3つ。最初の4のコンボが入らないと、他にコンボに入れる場所がもう無いという…すっごく一か八かなプログラムなような…。ジェフのもっとも安定しているフリップのコンボを入れてきていないのですよね…。最初をコンボにできなかった場合は終盤に単独で入れているフリップにセカンドジャンプを入ればいいような気がするのですがね…というかそれを想定しているのかもしれませんが、でも、あの場所のあのタイミングでコンボを入れるのは難しそうだし、いくらジェフといえどもそういうことを繰り返すのはルール上において危険な癖がつきそうだしと…どうなのでしょうね…。でも、つくづくこのプログラムは、ジェフの今季の課題プログラムだったのだなぁと思いました。02-03シーズンのフリー"Elgar's Cello Concierto in E Minor"と似たところがあるというか、いや、プログラムのイメージとしては全く似ていないけど、でもジャンプがかなり目立つところに入っているんですよね。ジェフの弱点であるジャンプで見せるプログラムにもなっているかと。”サムソンとデリラ”や”ナコイカッツィ”や”グールド”はイーグルやイナバウアーが目立つところにどーんと入っていて、どちらかといえばジャンプミスを忘れさせるプログラムかな*2。ナショナルでの素晴らしい演技は気迫もすごかったのですが、あの時に目をひいたのがジャンプの大きさでした。4大陸とワールドでは少し元にもどってしまっているのがとても残〜なのですが、ジェフの身体つきがまた以前のようにほっそりと戻っているので、その所為も多いにあるかもしれませんね、筋肉をつけすぎると、その為に使う酸素も多くなってしまって結局のところスタミナに影響してしまうし…と、今季は背中の披露骨折を経て一から身体を作り直したので、丁度良いコンディションを作るのにもとても苦労したのかもしれないね…。と、話がそれまくってしまった…。ジャンプは終盤二つ目のアクセルはダブルに、フリップもダブルに、ルッツはステップアウトと…あまり良い出来ではありませんでしたが、しかし、ワールドのフリーではジャンプミスにひっぱられてそのままずるずるとジェフのもっとも悪い癖がでてしまったものでしたが、今回はそういったことにひっぱられることなく、プログラムの世界をこわさずに滑りました。そして、今回はプレッシャーが少ない場とはいえ、やはり自身の中であのワールドフリーの悪いイメージを払拭するのは並み大抵のことではなかっただろうと、その中でそれでも、ここでクワド入りで挑もうとしていたことに感激しました。やはりジェフは強いです。
織田信成
2回目の披露になるミッションインポシブルです。3A3T3Loを華麗に決めてくれました。これはやはり見ごたえがありますね。さすがです。二つ目のアクセルはダブル?シングル?になってしまったけど、あとはほぼノーミスの演技だったかな?スピンも迫力があって見事です。このプログラムはやはり私はあまり好きにはなれないし、たぶん、他の曲をかぶせてしまってもいいのではないかなぁ…って思ってしまうほどに織田君の滑りから音楽があまり聴こえてこない演技で…と、これはトッドとジェフの後の滑走だったからそう感じてしまったのもしれません。でも、なんというか…あれだけ素晴らしい技術を持っているのに…と、とてももったいないような気がしてしまうのです。どんなに素晴らしい音楽性を持っていてもそれを体現する技術がなければ話にならないから…と。織田君の素晴らしいジャンプとスピンを見ているとついこっちも色々と求めるものが大きくなってしまうのかもしれませんね。
ブライアン・ジュベール
クワドをあっさり降りました〜。やはりジュベールのジャンプはかっこいいですね。スカっとします。あとワールドの時にも感じたのですが、スケーティングがかっこよくなったというか、なんだろう、ダイナミックというかスケール感があるように思います。このプログラムはやはりどうにもこうにもピンとこないプログラムなのですが、やはり世界チャンピオンの風格がそなわってきていて、堂々とした演技で見ごたえがあります。今季あれだけがんばってきたから、今はもう燃え尽き症候群にかかっていてもおかしくないと思うのですよ、それでもふたたび日本に来てくれて素敵演技を見せてくれてありがとう〜といった気持ちです。

これで男子は終了。
今回も点数は色々と謎(笑)というか、ジュベール君の点数のTESの低さに唖然で、おもわず「えぇ?」という声を、同時に右隣からも「えぇ?」という声、おもわず顔を見合わせて「なんで?」と(笑)いや、たしかに、コンボが少なかったかなぁとか…イロイロと頭の中を巡ったのですが、今季すさまじい強さを発揮したジュベール君の点数のイメージからほど遠い点数だったのでびっくりしてしまったのでした。しかし、ジュベール君のその点数をきっかけにそのままお隣さんと色々とお話するようになってしまって…すっかりとお友達に(笑)
そうそう、結局ジェフは男子では2番目の点数だったのですが、あまり意味をもたない大会のこととはいえジェフのPCSがジャンプミスがポロポロあった中でも一番高かったことに少々ホッとしました。
と、とりあえずここまで〜。

*1:ただし、後に滑ったランビエールと大ちゃんのあの出来にあれだけのPCSが出たことを思うと納得しかねる部分もあるのですが、フィギュアスケートの採点は特殊というかなんというか…、まぁ…去年のカルガリーワールドではジェフもものすごく救済されていたので…こういうのはおたがいさまですね(笑)

*2:まぁどんなプログラムであれジャンプミスをしないのが一番良いわけですが